うさぎ小屋2

Rabbit Hutch 2

182x183x185cm x2

木、プラスチック板

2013年8月

上畠アート2013(富山県南砺市利賀村)

182x183x185cm x2

Wood, plastic plate

August 2013

UWABATAKE Art `13 Teppen (Nanto, Toyama  JAPAN)

 戦後の高度成長期、日本ではかつてない住宅需要に対応するため、狭くチープな集合住宅が大量に作られました。 日本を取材に来ていたフランス人新聞記者は、その住空間を見てこう表現しました。

 「これはまるで、うさぎ小屋だ」

 文化とは生活の上に成り立ちますから、文化の質の高いフランス人からしてみれば、日本の住環境の質があまりに低く見えたのでしょう。そこには少なからず軽蔑の念も含まれていたと思いますが、フランス人新聞記者の指摘は的を得ていたと思います。

 うさぎ小屋のようなせまい空間に寄り添って生きている姿は、日本的文化です。それは恥ずべき文化なのかもしれませんが、まぎれもなくそれこそが日本の文化であり、当の日本人にとってはそれほど悪い住環境でもなかったのではないでしょうか。狭いからこそ、家族は一緒にいるしかない。一緒にいるから絆は深まる。少なくとも今よりは、家族や地域の繋がりが強かったのではないでしょうか。

 2011年3月11日以降、わたしは何をするべきなのだろうかと、考えて来ました。 わたしはアーティストですから、アーティスにしかできないことがあるだろうと思いめぐらしてきましたが、なかなかいい考えは浮かびませんでした。

 アーティストはアートという武器を持って戦う者です。戦う相手は大災害です。 はたしてどういう武器(作品)を作り出せば大災害に立ち向かっていけるだろうか。

 まず大災害を防ぐことはできない。これからも災害はおこってくるだろう。起こってしまうのならば、起こった後に、どうにか乗り越えていくしかない。それならば乗り越えていく人々をアートという武器で助けることはできるかもしれない。そんな考えで生み出した作品が、この「うさぎ小屋2(に)」です。

 この作品は東屋(あずまや)です。雨と風、直射日光から人間を守ってくれるシェルター的空間です。 ここに人々は集うことができます。語らうことができます。心を休めることができます。囲みを増やせば横になることもできます。物置としても使えます。 大きさは1.8m角と広くはありませんが、身を寄せ合うには程よい大きさです。

 軽蔑される日本的要素も、決して負の面ばかりではないのです。 狭いが故にコンパクトですので、解体すれば180x90x20cmほどになり、ワンボックスカーに積んで運ぶことが簡単です。組立も、ひとりで1時間かかりません。 この作品は、携帯できる空間作品です。この形とともに、解体された形も本当の姿です。 次の災害時、わたしはこの作品を車に積み、被災地に向かいます。

 想像してみてください、また大災害が襲ってきた時を。 考えてみてください、あなたの武器を。 あなたにできること、あなたにしかできないことがあるはずです。